PumpNews_January_No.89
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らず楽しめる複合リゾートとなっています。時の止まった旧施設に 息を吹き込むためにロッテアライリゾート建設チーム、機械担当課長の金(キム)さんは、計画が始まった2015年10月に、日本を初めて訪れました。「以前の施設が閉鎖されてから約10年間、ここは文字通り、時が止まった状態でした。まず地下の機械室を確認しに行ったのですが、あまりに長い時間電気がストップしていたため、湧水による浸水はかなりの量になっており、設備機器はほとんど使える状態ではありませんでした。しかも、既存の図面を確保することも難しく、多くのことが想像以上に大変でした。決して充分とはいえない工期の中、準備に時間を費やさなければならなかったため、すべての施設を一斉に工事するのではなく、まず1期工事、そして2期工事へと分け、計画を練り直しながら工事を同時進行しなければなりませんでした」と金さんは当時を振り返ります。「元々、それぞれの建物が少しずつ増築を繰り返して造られていた施設なので、機械室の配置が複雑だったり、建物によってシステムが少しずつ違うなど、設備も不揃いでした。そこでまず、使われていたシステムを確認・把握する必要がありました。10年のブランクがあるため、新しい設備システムを採用して稼働した時に問題が発生しないかどうか、さらには、どうアップグレードするかが課題となりました」今では当たり前の「省エネ」設備機器も、ひと昔前の設備機器では対応していません。そのため再利用は考えませんでした。たとえ運よく稼働したとしても、故障する可能性があると判断したからです。そこで設備はほぼすべてを新しいものに交換するべく、プランを大幅に変更。工事金額の内訳も、設備に最も費用をかけたといいます。さらに、総面積68万平方メートルを誇る複合リゾート施設としての付加価値を高めるため、温泉の掘削をスタートさせました。ロッテアライリゾート 建設チーム 機械担当 課長 金 昇民(キム スン ミン)さん株式会社NNCエンジニアリング設計課長 阿部 一也さん新たに掘削した源泉はたっぷりの湯量で滞在者を癒してくれる大きく5つの建物が連なりスケールの 大きさを感じさせる施設の外観「初めて金さんと会ったとき、すでに温泉を掘りたいという要望がありました。すぐに調査をスタートしましたが、周りからは、ここでは温泉は出ないと言われていました」と語るのは、株式会社NNCエンジニアリングの設計課長、阿部さんです。「綿密な調査の後、2016年5月末から掘削を始め、地下1,800mほど掘り進んだところ、9月末に待望の源泉が出たのです。泉質は単純温泉。源泉名は大毛無山にちなみ『小毛無(こげなし)温泉』とされました。グルンドフォスの水中ポンプSPで汲み上げられる温泉は現在、大浴場とプール施設『星空温泉&プール』と、クアハウスの『スパ・マナ』の建物、2棟に引いています」と説明する阿部さんには笑顔が。誰もが楽しめ永く続く 複合リゾート施設であるようロッテアライリゾートの親会社ロッテグループには厳しい基準があり、ビジネスの運営だけでなく、建設・工事や設備機器の選択に関しても指示は明確だと金さんはいいます。韓国本社のメインコントロールでは細かな資材基準が決められており、空調用ポンプはグルンドフォスだけを使っていると明言。なぜなら10年ほど前にグループで、ポンプ各社の性能について検証比較をした結果、ポンプの効率およびライフサイクルコストが最も良かったと判断されたからです。金さんは自らの経験から「韓国だけでなく、5PUMP NEWS

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