PumpNews_Oct_No.84
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す」と語るのは、コース管理課、グリーンキーパーの敦賀さん。「なにより芝のクオリティは、どこにも負けないと自負しています。たとえば雑草がグリーンの芝に入って成長してしまうとボールの転がりに影響を及ぼすため、手作業はもちろん、ありとあらゆる方法を使って排除しています。最後のひと転がりのために譲れないところです。そして最も大切なのが、水管理です。この地域は、水は豊富なのですが土壌が砂地なため、保水力が少なく乾きやすいのです。ですから他と比較しても散水量はかなり多いはずです」今年3月、小樽カントリー倶楽部では、4台並列のポンプユニットを導入。1台を予備にし、3台を稼働させています。「将来のことを予測し、これ以上散水が必要になった際でも大丈夫なように4台を設置しました」と当時を振り返るのは、グルンドフォスのパートナー、株式会社ターフテックの日野さんです。「かなり以前から既存のポンプも配管も老朽化が憂慮されており、どういう使い方をすればよいか、常々相談を受けていました。メジャーの大会も行われている由緒のあるゴルフ場で、ピーク時に漏水などというトラブルが起きてしまっては大変ですから。しかしさすがに限界が訪れ、今年3月にHydro MPCに入れ替えとなりました」イリゲーション担当の大西さんは導入について「以前のポンプは手動でON/OFFし、散水を制御していました。配管は創設以来40年使用しているため水圧調整が難しく、使い方に工夫と時間がかかりました。新しいポンプユニットを導入したことにより、時間帯で圧力を変えるプログラムも可能となったため、いまはとても楽になりました。毎日必要な流量をふんだんに使えます。しかも立形ポンプなのでポンプ室が広くなりました。さらに今後、遠隔操作を取り入れることも視野にいれています。通常、夜間に13時間の散水を行っているため、万が一の際に現場にいなくてもコントロールできるようになれば安心です」と語ってくれました。敦賀さんたちには近い将来、このコースで3回目の日本オープンを開催したいという抱負があります。「いつかその日がくると信じ、18ホールのグリーンすべてが同じ転がり、同じグリーンスピード、同じコンパクション(硬さ)であるよう最善を尽くしています。そのために、同じ水分量を常にキープできる状況をつくりたいですね」緻密な散水で景観を守る ~北海道クラシックゴルフクラブ~オールベントへのこだわりは、北海道クラシックゴルフクラブでも同じです。あのジャック・ニクラスがノースカロライナ州にある故郷をイメージして設計したコースは、地形を生かした柔らかな起伏ながら、池が随所に絡む戦略性の高いもの。同じ種類の芝を、グリーン、フェアウェイ、ティーに、まんべんなく使用しており、本州から来場したプレイヤーは、誰もがクラブハウスからの壮観な景色に感動するといいます。「芝を常に良い状態にしておくためには、まず予防、つまり早め早めに散水することが大切です。散水のための機材や作業への投資は、乾燥で芝に問題が出た際のリスクを考えると決して高いとは思いません。大切なのは日々のチェックとデータ管理を怠らないことです」と話すのは、スーパーインテンダントの滝ヶ平さん。ポンプの入れ替えをしたのは2008年。以前のものは1991年のオープン以来使用していたため老朽化し、一刻を争う状況でした。その際に作業を担当したのも、日野さんです。「シーズン中の入れ替えは無理だったため、冬期のクローズ期間の作業となりました。必要な散水量を維持しながら省スペース化を図るにはHydro MPCが適切と判断しましたが、ユニットとの配管合わせには慎重を期しました。通常は図面を見たうえで、現地確認をしながら行うのですが、他の地域と比べて量は少ないとはいうものの、積雪のため冬期の作業はできません。雪どけを待ってから一気に工事を進めなくてはなりませんでした」と顧みる日野さん。雪の影響を受けなくなったのは3月半ば。4月のオープンまでほとんど時間はありませんでした。「以前は、散水している間に圧力が変わってしまうことがありましたが、いまは散水量にあわせて圧力を設定してしまえば、インバータ制御左: 冬期は配管の水を抜き、ポンプ室は凍結防止のため室温を一定にキープ (小樽 カントリー倶楽部)左下: くまなく芝に散水される北海道クラシックゴルフクラブ右下: 従来の1台のスペースに、3台が設置できた立形ポンプ(北海道クラシックゴルフクラブ)北海道クラシックゴルフクラブスーパーインテンダント滝ヶ平大介さん5PUMP NEWS

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