PumpNews_June_No.75
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CASE STUDYSQフレックスで操作性が向上アキュイン・レスキュービークルでは、原水を引き上げるためのポンプとして、グルンドフォスのSQフレックスシステムが使われています。しかし完成した当初はこのシステムは使われておらず、装置自体の操作性は非常に低いものでした。「アキュインとは別に、発電機、ポンプ、そして汲み上げた水を一旦貯めておくためのタンクが必要で、運搬のために車両2台を要していました」稼働のための設置とプロセスも煩雑でした。まず、一旦100リットルの水をポンプでタンクに吸い上げます。そしてタンクから別ポンプでアキュインに運び、浄化プロセスを経るのですが、発電量が限られていたため連続運転ができず、100リットル溜めるごとに発電機の電源を落とし、充電しなければいけませんでした。SQフレックスシステムの存在を知って、この環境が劇的に変わったのが2012年12月のことです。自然エネルギーの活用を基にしたSQフレックスシステムは、SQFポンプとソーラーパネル(太陽光発電)、コントロールユニットがセットになった給水システムで、連続・断続運転仕様に設計されており、電力供給が不安定な遠隔地での給水や僻地での灌漑などに、高い実績を誇ります。「まず驚いたのは、そのコンパクトさでした」と笑顔を見せる今井さん。なるべく一台の車両で動かしたいと思っていた今井さんにとって、必要なスペックを満たした上でほとんど場所をとらないSQFポンプの存在は、まさに福音でした。さらにSQFポンプを直接アキュインにつなぐことで、タンクが不要になります。「タンク、発電機、インバータが不要になり、一台の車両にオールインワンで収まるようになったことで、圧倒的な気軽さと発展性を得られました」魅力を感じた2つ目の点が、低電力で動くことでした。採用したSQFポンプ1.2-2は、5mの高さであれば、100ワットの出力で毎分10リットル給水することが可能です。アキュイン・レスキュービークルでは、車両のルーフに70ワットを出力できるソーラーパネルを3枚搭載(パネルは別メーカーを使用)。あわせて210ワットの電力を発電することで、目標値とする毎分2.8リットルの給水を実現しています。「稼働させるには、アキュインにつないだSQFポンプを原水に入れ、コントロールユニットをONにするだけ。設置の手間が段違いに減ったことで、商品としての価値が高まりました。何より稼働力が向上したことで、世界の水不足の地域に赴くという目標に近づいたことが、本当に嬉しいですね」新たな可能性へアキュイン・レスキュービークルは、これまでに防災管理危機展での展示でお披露目され、高い評価を得てきました。また、子どもたちへの総合学習でも活躍。薬剤処理や逆浸透膜での処理と違い、汚染水をまったく排出することなく浄水できるシステムのため、環境教育にはもってこいの教材です。今後の課題は、電力供給の効率をより一層上げることだと今井さんは言います。現在、ソーラーパネルでの発電はSQFポンプを動かすのには充分ですが、アキュイン本体に送電する必要があるため、トータルで少し不足しています。また、曇天時にも動かせるよう、ソーラー、エンジン、発電機の3電源方式を採用し、24時間稼働できるようになっています。しかし本格的に発展途上国で活用するためには、電源をソーラーだけにして、メンテナンスフリーにすることが大切だと今井さんは考えています。「東日本大震災以降、日本国内での防災意識は日々高まっていますし、世界で安全・安心な水を必要としている場所は本当に多い。アキュイン・レスキュービークルは、これから多くの場所で必要とされると思います。今後は、自動車メーカーと連携して、パワートレインをより適したものにバージョンアップするなど、新しい一歩を踏み出したいですね。モットーは“安全な水を いつでも どこでもだれにでも”。世界の水環境の改善に直接貢献できる日も近いという思いで、ワクワクしています」SQフレックスシステムによって、コンパクトで機能的になったアキュイン・レスキュービークル。今井さんの夢と共に、これからの可能性は無限に広がっているようです。株式会社アキュインPROJECT納入先:株式会社アキュイン導入開始:2012年12月導入製品:SQFポンプ1.2-2、 コントロールユニット CU200 用途:浄水装置における原水の 給水・配水アキュイン・レスキュービークルのパース。ルーフには70ワットの発電が可能なソーラーパネルを3枚搭載。SQFポンプをつないでアキュイン本体の左下の部分から原水を流入させ、右端の蛇口から飲料水となって出る仕組み。※アキュイン(AQUIN)は、電荷変換水路・CFT(Charge Force Transfer)と還元吸着水路および制御装置からなる、高濃度汚染水の飲料水化まで可能な浄水装置。その技術の総称をアキュインと呼ぶ。PUMP NEWS6

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