PumpNews_June_Vol.71
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よってどうしても成分に差が生まれてしまうのです。「原材料の基準値は、製品化したときの数字を軸に決められます。製品によって成分が低くなったり高くなったりする傾向があるため、それを見越した上で配合値を設定するわけですが、溶解の段階でムラが出てしまうと、そこからさらに温度や原料を調整しなければなりません。手間も労力もかかる上、調整は経験値の高い職人に頼らざるを得ないなど、作業の平準化にも大きな障害となっていました」こうした課題に対し、シャーポンプ導入の成果はすぐに現れました。まず、溶解ムラが解消し、配合値とサージアップ時の間の原料濃度に、差がほとんどなくなったのです。作業する人によって溶解率が変わることもなくなり、調整にかかる手間も低減。安定した味の実現に大きな進歩が生まれました。また溶解スピードが早く、泡立ちが激減したことも収穫でした。これまで、泡消えを待つことだけに費やしていた時間が減ったことで、効率が大幅にアップ。溶解工程全体を見ると、平均8時間かかっていた作業時間が、30分程短縮できたと言います。考えながらつくる体制時間が短縮できたことは、さまざまな面にプラスの波及効果を及ぼしました。1つ目が、トータルコストの削減。人件費の削減に加えて、電気代の節約も図れています。「工数を圧縮し少数精鋭を進めるというのは、経営効率を上げるためにここ数年を通じて掲げられている経営方針のひとつです。品質は絶対に落とせませんから実施は簡単ではありませんが、シャーポンプの導入によって大きく前進したと思います」そして2つ目が、作業に余裕が生まれ、他のことに使える時間が増えたことでした。「工場の主役は作業そのものです。いかに質の高い作業をするかで工場の価値は決まりますが、一度構築したシステムに乗って単調に作業を繰り返しているだけでは、良いものづくりはできません」そう話す梶原さんが、工場運営の中で常に念頭に置いているのが「考えながら作業する」という体制です。「常に、どうすればもっと良くなるかという視点を持つこと。“改善しながらつくる”ことを日々繰り返してこそ、クオリティは保たれます。競争が激しい今は特に、進歩し続ける姿勢が重要。ですから、作業効率が上がり、さらなる効率化や質の向上について目を向ける時間が生まれたことは、とても大きな意味があります」「おいしいね」の笑顔のために工場設備には、シャーポンプの他にグルンドフォスの自吸式サニタリーポンプSIPLA(シプラ)も使われています。CIP(定置洗浄)回収用途に使われているSIPLAについて、「非常に信頼できるポンプ、その一言に尽きます」と梶原さん。「メンテナンス調整が限りなくフリーに近く、メカニカルシールの破損や摩耗も少ない。また、自吸力が高いため配管内も一滴残らず回収され、しっかりと洗浄できる点にも満足しています」仕事を心から楽しんでいる様子の梶原さん。インタビューの最後に、今後の抱負を語ってくれました。「安心、安全、そしておいしさ。絶対に揺らぐことのないこの3つを立脚点に、高品質なものづくりを追求し続けたいですね。出荷される製品は工場での大量生産ではあるけれども、お客様が買われるのは、お1人1個だったり家族分だったりと、ほんの少し。だから、私たちも一つひとつの製品を大切にする気持ちを忘れてはいけないと思います」何よりも嬉しいのは、お客様の笑顔と「おいしいね」という言葉。その言葉を聞くために、これからも挑戦は続きます。左: 溶解工程で活躍するシャーポンプ 右: 宮城県に位置する東北グリコ乳業の工場PROJECT納入先:東北グリコ乳業株式会社導入開始:2013年4月(テスト導入)導入製品:シャーポンプ用途:粉体の溶解東北グリコ乳業で手がけている製品の一部5PUMP NEWS

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