PumpNews_Mar13_Vol.70
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限られたスペースの中にすべてのシステムを納めるために、BMPがコンパクトであることが大きな利点になったと言います。「ロスなく効率的な配置を実現するため、試行錯誤を繰り返しました。BMPは、必要十分な機能を持ち、私がそれまでに知っていたどの高圧ポンプよりも小型でした。これは、設計において大きなポイントになりました」BMPの最大ポンプ全揚程は16MPaで、標準重量は0.2~10.2m2/h。これだけのパワーを持ちながらも小さく軽いのは、アキシャルピストンの原理を使用しているためです。「最初は、こんなに小さくて本当に機能が高いのか、半信半疑でした」と西村さんは笑顔を見せます。プロジェクトがスタートしたのは2011年の3月。ポンプをはじめとして搭載する機器メーカーの検討、決定、設計を経て、実際に現場での製造が始まったのは9月上旬でした。そこからは、まさに休む間もない忙しさだったと言います。設計の鎌田さん、製造に携わった藤若拓人さんたちのチームは、不眠不休で製造に取り組みます。そして約2カ月後、移動式海水淡水化装置は完成します。「実際に稼働した時は、脈動のなさと静けさとに、全員が驚きの声を上げました」と藤若さんは話します。非常時に力を発揮完成した移動式海水淡水化装置は11tトラックに搭載され、1日に160tの淡水を製造することができます。この数字は稼働率に充分な余裕を残したもので、フル稼働すれば容量はもう少しアップすると言います。もちろん、飲料水だけでなくプラントで使用する生産水や生活用水にも対応します。もう一つ特筆すべき点は、最適設計による柔軟性。「燃料を発電機とトラックで共有しているため、発電機で燃料が必要になった際、トラックの軽油をそのまま使用できます。また、発電機を搭載しているので、停電時にも安心です」と藤若さん。その性能ゆえ、非常時用の備えとしてプラントでの利用はもちろん、官公庁や自治体などからも注目されつつあります。「当社のエンジニアは、皆グルンドフォスのポンプのファンなんですよ」そう言って笑う西村さん。同社では、船舶部においてバラスト・ウォーター・システムも手がけており、そこでもグルンドフォスのポンプが活躍しています。一大プロジェクトを終えた今、今後への抱負を「社会に必要とされるものを開発し続けたい」と声を揃えた3名。会社としての技術力とノウハウはもちろんのこと、チームの団結力とグルンドフォスのポンプから生まれた移動式海水淡水化装置。使用の裾野はまだまだ広がっていきそうです。上: 逆浸透膜の前に据えられた高圧ピストンポンプBMP 下: 送水ポンプとして使用されている立形多段うず巻ポンプCRNPROJECT納入先:柳田産業株式会社導入開始:2012年10月導入製品:高圧ピストンポンプBMP 4台、立形多段うず巻ポンプCRN 6台用途:海水淡水化5PUMP NEWS

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