PumpNews_Mar13_Vol.70
4/8

「移動式海水淡水化装置をつくろう」――そのアイデアは、2011年3月11日に発生し、東北地方に未曾有の被害をもたらした東日本大震災に端を発して生まれました。震災発生時、人命救助の後に最も急を要して必要とされるのが、安全な水の確保です。人が生きるために、また住環境を整え復興の一歩を踏み出すためにも、水は欠かせません。「プラントの整備やメンテナンスを手がける当社にとって、水の重要性は常に意識している問題です」そう語るのは、本プロジェクトでリーダーの任に着いた、執行役員事業部長の西村晃司さんです。震災需要を視野に入れて移動式海水淡水化装置の最大の特長は、その名の通り「移動式」である点です。1台のトラックに、海水淡水化に必要なすべてのシステムを搭載し、海さえあれば場所を選ばずにその場で生産水や生活用水を作り出すことができます。仕組みとしては、取水ポンプで吸い上げられた海水が前処理工程として精密ろ過膜を通り、高圧ポンプを経て逆浸透膜に通され、タンクに溜められます。逆浸透膜に押し込むための高圧ポンプは、装置全体の心臓部。ここに採用されたのが、グルンドフォスのBMPでした。また、送水ポンプには同じくグルンドフォスの立形多段うず巻ポンプCRNが使われています。柳田産業では1995年1月に発生した阪神・淡路大震災を受けて、移動式海水淡水化装置と同じ車載形式の飲料水製造装置をつくった経験がありました。今回のプロジェクトは、その際の技術ノウハウをベースにスタートしました。「当時の装置に使用されていたのはプランジャーポンプです。車載という特質上、フレーム等でポンプを固定することができませんでした。そのため振動や騒音が激しく、頭を悩ませていた問題でした」西村さんはそう当時を振り返ります。プロジェクトのスタートと共に、飲料水製造装置の問題をすべて洗い出してグレードアップしていく中で、なんとか脈動を軽減できないかとさまざまなメ―カーのポンプを検討。そして出会ったのが、グルンドフォスのBMPでした。これまで、グルンドフォスのポンプを数多く使用してきた柳田産業ですが、BMPを採用するのは初めて。高圧ポンプは装置全体の最重要部分とも言えるだけに、「実際に動くまでは不安もありました」と西村さんは素直な感想を口にします。軽量・コンパクトも必須要件ポンプに求められる要件は、振動・騒音の低減だけではありません。設計上重要視されたのは、必要な機能を持った上で、小型かつ軽量であることでした。設計を担当した鎌田雄紀さんは、トラックのプラントエンジニアリングを主軸として、プラントのメンテナンスや建設工事などを手がける柳田産業株式会社。2012年10月、技術力とノウハウを結集して開発された「移動式海水淡水化装置」は、海水淡水化に必要な装置が 1台のトラックにコンパクトに搭載され、非常時に役立つとして注目を集めています。その心臓部とも言える高圧ポンプに、グルンドフォスのBMPが採用されました。柳田産業株式会社移動式海水淡水化装置の心臓部で高圧ピストンポンプBMPが活躍CASE STUDY開発エンジニアリング事業部執行役員事業部長 西村晃司さん開発エンジニアリング事業部室長代理鎌田雄紀さん開発エンジニアリング事業部藤若拓人さんPUMP NEWS4

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る