PumpNews_Mar11_Vol.65
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新宿駅西口に林立する超高層ビル群。その中でもひときわ目を引くのが東京モード学園のコクーンタワーです。“繭”という名の通りの斬新な外観で、ファッションやメイク、デザインを学ぶ学生にクリエイティブな刺激を与え続けています。このコクーンタワーに熱媒体を供給しているのが、地域冷暖房業界の最大手エネルギーアドバンス。1989年からこの地域で同社として8番目の地域冷暖房の運転を行っています。新宿エルタワーと工学院大学の地下にプラントを設置。都市ガスを熱源とするボイラーで発生させた蒸気をエリア内のビルの暖房や給湯用に使い、その蒸気を熱源とした冷凍機で、冷房用などの冷水を供給しています。日本に地域冷暖房の導入が始まった1970年代は、大気汚染対策が切実な課題でした。冷暖房の際に油ではなくガスを燃焼させることで、大気汚染の原因物質を減らせないかという行政からの強い要請があったといいます。大気汚染が大幅に改善した今日では、CO2削減や省エネなど地球環境への貢献が主な目的になっています。欠かせぬ熱の安全、安定供給地域冷暖房はなぜ、CO2の削減に効果的なのでしょうか。同社DHC営業部副部長の田中一史さんは、その理由として、負荷の平準化、高効率機器の集中投資、専門のオペレーターの存在を上げます。平準化とは、季節や時間によって大きく異なる空調の負荷に対し、いろいろな用途のビルを複数集めることによってそれをならして、機械の稼働率を上げられるということです。高効率機器は、各建物が個別に導入するよりも、建物を集約したほうが入れやすくなります。さらにビル全体の管理ではなく熱源を専門に監視するオペレーターを配置することで、運用の段階でも高効率が期待できるというわけです。それらがあいまってCO2削減が可能になると、田中さんは説明します。同社がこうしたサービスを提供するにあたって、最も重視しているのは、安定的で安全な熱の供給です。「熱(冷温熱)の供給を切らしてしまったら、空調が欠かせないいまのビルはたちゆきません。それに蒸気の温度は180度もありますから、これが道路で噴いたりしたら、大変です」さらに、それを環境にやさしい一定の品質で、経済性にも配慮して提供するように心がけているといいます。ガスコージェネを不断にサポートグルンドフォスのポンプが地域冷暖房設備の一環として採用されたのは、2008年。エリア内に誕生したモード学園コクーンタワーが、地域冷暖房と組み合わせる形で地下にコージェネレーション設備を設置。その付随設備としてグルンドフォスの立形うず巻きポンプ(TP、CR)が導入されました。モード学園コクーンタワーの計画では、エネルギーや環境の面においても地域社会への貢献が求められました。そこで「ガス発電による排熱を地域全体で利用することによって、いっそうCO2を削減できるのではということで、分散型発電(ガス発電)をご提案し、採用いただきました」。つくりだした電気は、モード学園の中で使用しています。実はここにエネルギーアドバンスの強みがあります。東京ガスから独立した同社にとって、ガスは最も得意な分野。1971年から手がけてきたガスを熱源とした地域冷暖房の技術と、東京ガス時代からずっと培ってきたコージェネレーションの技術。これらを組み合わせることで、熱と電気を効率よく取り出すことができるわけです。同社が業界トップに位置づけられるのも、こうした技術の裏付けがあってのことだといえるでしょう。ガスコージェネレーションをめぐるグル株式会社エネルギーアドバンスDHC営業部副部長田中 一史さん株式会社エネルギーアドバンスDHC営業部長槫松 久夫さん株式会社エネルギーアドバンス新宿西口地域冷暖房センター所長 金沢 正一さん地域冷暖房のしくみ地域冷暖房センター供給熱媒体:冷水・蒸気5PUMP NEWS

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