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カーボン/タングステンカーバイドまたは カーボン/シリコンカーバイドの組合せの特徴シール面にカーボンを使用したシールには以下の特徴があります。• 壊れやすいため、取扱いに注意を要する。• 固形粒子を含んだ液体により磨耗する。• 耐食性が優れている。• (短時間の)空運転に対する耐久性が優れている。• カーボンには自己潤滑性があるため、このシールは潤滑条件が悪い(高温)場合での使用に適しており、異音を発生させません。ただし潤滑条件が悪い場合はカーボンシール面が磨耗するため、シールの寿命は短くなります。この磨耗条件は、圧力、温度、シール面の直径、シールの構造により異なります。低速ではシール面どうしの間の潤滑性が低下するため、磨耗が増加することが考えられます。ただし、シール面が移動しなければならない距離が短縮されるため、この磨耗の増加は通常は発生しません。• 金属含浸カーボン(A)は、耐食性は限られますが、機械的な強度と熱伝導性が高いため磨耗は減ります。• 合成樹脂含浸カーボン(B)は、機械的な強度は落ちますが、耐食性が高いため広範囲な用途があります。合成樹脂含浸カーボンは飲料水への使用が承認されています。• カーボン/SiCを熱水用途に使用すると、カーボンの品質と水質によってはSiCが極度に磨耗する場合があります。この種の磨耗は主にQ 1s/カーボンで発生します。Q 1P、Q 1Gまたはカーボン/WCの組合せを使用すると耐磨耗性が非常に高くなります。 そのため、熱水系統にはカーボン/WC、カーボン/Q 1Pまたはカーボン/Q 1Gの組合せをお勧めします。1.2.2 シールの性能に影響する要因既に説明したように、完全な密封性のシールはありません。ここではシールの性能に影響を与える要因(エネルギー消費、異音、漏れ)について説明します。これらの要因は個別に発生しますが、相互に密接な関連があることを重視する必要があり、従って総合的に検討する必要があります。エネルギー消費シールを回転させるためには電力が必要なことは言うまでもありません。次に、電力の消費(メカニカルシールによる電力の損失)を引き起こす要因について説明します。• 回転部品の遠心ポンピング動作消費電力は回転速度の増加と共に(3乗に比例して)大幅に増加します。• シール面の摩擦2つのシール面の間には以下の摩擦が発生します。– 薄い液膜内の摩擦– シール面どうしの接触による摩擦消費電力はシールの構造、潤滑状態、シール面の材料により決まります。0050100150200250200040006000800010000120003600消費電力(W)回転速度(rpm)ポンプによる消費電力摩擦による消費電力図1.2.1:12 mm メカニカルシールの消費電力図1.2.1はメカニカルシールの消費電力の代表例を示しています。この図は、メカニカルシールの電力消費は、3600rpmまでは摩擦が主な原因で発生することを示しています。エネルギーの消費量は、特にグランドパッキンを使用する場合は重要な問題になります。前記の例からも分かるように、グランドパッキンの代わりにメカニカルシールを使用すると著しくエネルギーを節約することができます。図1.2.2を参照してください。標準的ポンプ50 mLC; 軸50 mm、回転数2900 rpmエネルギー消費量グランドパッキン 2.0 kWhメカニカルシール 0.3 kWh漏れグランドパッキン 3.0 l/h (正しく取り付けられている場合)メカニカルシール 0.8 ml/h図1.2.2:グランドパッキンとメカニカルシールの比較424Chapter 1 ポンプと電動機Section 1.2 メカニカルシール

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