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Section 3.2 回転数によるポンプ性能制御前項で説明したように、ポンプシステムに対するポンプの性能を調整する場合、ポンプの回転数を変えるのが効率的な方法です。この項では、回転数調整式ポンプとPI調整器および圧力、差圧、温度等のセンサの組合せの可能性について説明します。以下の頁では各種の方法を例を挙げて説明します。3.2.1 圧力一定制御例:ポンプが貯水タンクから建物内部の複数の蛇口へ水を供給する場合水の需要量は変化するため、ポンプシステムの特性は必要流量により変化します。快適性の確保と消費電力の節約のため、供給圧は一定にすることが望まれます。図3.2.1から分かるように、この場合には回転数調整式ポンプをPI調整器で制御する方法を使用します。PI調整器は、必要圧力(pset)を圧力トランスミッタ(PT)で測定した実供給圧力(p1)と比較します。実供給圧力が必要圧力より高い場合は、PI調整器がポンプの回転数をp1 = psetになるまで減少させてポンプの性能を落とします。図3.2.1は、流量をQmaxからQ 1に減少させた場合の特性の変化を示しています。この場合、PI調整器が、ポンプの回転数がnnからnxへ低下したことを検知し、必要吐出圧力(p1)がpsetに保たれるようにします。このポンプシステムは、流量が0 ~ Qmax範囲内で給水圧力が一定となるようにします。給水圧力は貯水タンクの水位(h)には無関係です。水位(h)が変化すると、PI調整器がポンプの回転数を調整して常時p1 = psetとなるように制御します。HQQ1hQmaxpsetp1hQ1H1nxnnPT設定圧力 pset貯水タンク実圧力 p1圧力トランスミッタPI調整器ポンプ回転数調整器蛇口HQQ1hQmaxpsetnxnnミッタ蛇口図3.2.1:一定の水圧で給水する回転数調整式ポンプを使用した給水系3.2.2 定温制御ポンプの回転数によってポンプの性能を調整する方法は多くの工業用途に適しています。図3.2.2は、水冷式により高品質生産を確保している射出成形システムを示しています。この射出成形機は冷水設備からの15℃の水で冷却しています。射出成形機の適切な運転と十分な冷却を確保するためには、戻り管の温度を一定値(tr=20℃)に保つ必要があります。ここではPI調整器により回転数調整式ポンプを制御する方法を使用します。PI調整器は、必要温度(tset)を温度トランスミッタ(TT)で測定した実際の戻り管の温度(tr)と比較します。このポンプシステムは特性が固定されるため、ポンプの運転点は性能曲線状のQminとQmaxの間になります。射出成形システム内の熱損失が大きくなるほど、戻り管の温度を20℃の一定値に保つために要する冷却水の流量が多くなります。設定温度 tsetPI調整器実温度 trポンプ回転数調整器冷水設備射出成形機温度トランスミッタ設定温度 tsetPI調整器実温度 trポンプ回転数調整器冷水設備射出成形機温度トランスミッタ図3.2.2:温度調整式循環ポンプにより戻り管の温度を一定に保つ射出成形システム490Chapter 3 ポンプ性能の調整Section 3.2 回転数によるポンプ性能制御

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