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Section 1.2 メカニカルシール1.2.1 シール摺動面材料の組合せここでは、工業用途向けのメカニカルシールに使用されている材料の最も重要な組合せであるタングステンカーバイド/タングステンカーバイド、シリコンカーバイド/シリコンカーバイド、およびカーボン/タングステンカーバイドまたはカーボン/シリコンカーバイドの組合せについて説明します。タングステンカーバイド/タングステンカーバイド(WC/WC)の組合せ浸炭タングステンカーバイドには、硬質タングステンカーバイド(WC)相と、通常は軟質の金属バインダ(固着剤、接着剤)相をベースとした硬質合金類が含まれます。この材料の正式な技術名は「浸炭タングステンカーバイド」ですが、一般的には略してタングステンカーバイド(WC)と呼んでいます。コバルト圧接(Co)WCは、ポンプに鋳鉄等の金属を使用している場合、水中でしか耐食性がありません。クロームニッケルモリブデン圧接WCには、EN 14401に等しい耐食性があります。焼結バインダ無しWCは最高の耐食性を備えています。ただし、この材料の、次亜塩素酸塩等の液体に対する耐食性はあまり高くありません。WC/WCの組合せには以下の特徴があります。• 耐磨耗性が非常に高い• 非常に頑丈で、手荒な取扱いにも耐える• 空運転に対する耐久性が劣る。空運転をすると、温度が数分以内に数百度に達し、O -リングを損傷させてしまいます。一定の圧力や温度を超えると、このシールは異音を発生する場合があります。異音が出た場合は密封能力が低下していることを示し、長時間運転を続けるとシールが磨耗する可能性があります。このシールの使用限界はシール面の直径と構造により異なります。シール面にWC/WCの組合せを使用した場合、慣らし運転期間には磨耗による異音の発生が3~4週間続くと思われますが、一般的には最初の3~4日は異音は発生しません。シリコンカーバイド/シリコンカーバイド (SiC/SiC)の組合せシリコンカーバイド/シリコンカーバイド(SiC/SiC)の組合せはWC/WCの代わりの組合せで、高耐食性が要求される場合に使用されます。この組合せには以下の特徴があります。• 非常に壊れやすいため、取扱いに注意を要する。• 耐磨耗性が極めて高い• 耐食性が非常に優れている。SiC(Q 1s、Q 1P、Q 1G)は揚液の種類に関係なくほとんど腐食しない。ただし、脱イオン水等導電率が非常に低い水の場合はSiCの変異体Q 1sおよびQ 1Pを腐食させますが、Q 1Gはこの水に対しても耐食性があります。• 一般的に、これらの材料の組合せは空運転に対する耐久性は低いですが、Q 1G/Q 1Gの材料は黒鉛を含んでいるため、短時間の空運転には耐久性があります。SiC/SiC変異体には使用目的に合わせて次の種類があります。Q 1s:高密度焼結、微粒子SiCこれは少量の微細孔のある、直接焼結、微粒子SiCです。このSiC変異体は長年に渡って標準のメカニカルシールの材料として使用されてきました。この材料の圧力および温度の限界値はWC/WCより少し低くなります。Q 1P:多孔性、焼結、微粒子SiCこれは、高密度焼結SiCの変異体です。このSiCの変異体には、大きな円形の閉じた孔があります。有孔率は5~15%で、孔のサイズは10~50 μ mRaです。この材料の圧力および温度の限界値はWC/WCより高くなります。そのため、温水では、Q 1P/Q 1Pの面材の組合せが発生する異音はWC/WCより低くなります。ただし、多孔性のSiCのシールでは、3~4日の慣らし運転期間中は異音が発生すると思われます。Q 1G:自己潤滑性、焼結SiC市販のSiCには、ドライ潤滑剤を含んだ変異体が数種類あります。Q 1Gという呼称は、前掲の材料とは逆に、蒸留水や脱イオン水での使用に適したSiC材料に適用されます。Q 1G/Q 1Gの圧力と温度の限界値はQ 1P/Q 1Pと同様です。ドライ潤滑剤(黒鉛)は空運転時の摩擦を減少させるため、空運転時のシールの耐久性に対して決定的に重要な要素となります。TP/TPENBG/NBGEPACOUPS/MAGNACR(N)/ CR(N)EマルチリフトHydro MPCSP A/SPDDA/DDE/DDCポンプ参考資料サービス475Chapter 1 ポンプと電動機Section 1.2 メカニカルシール

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